DAY15「草津温泉」

草津温泉に寄った。何度来ても最高だ。来るたびに街が変わっているし、変わらない所もある。片岡鶴太郎の美術館に初めて入った。寝観音という作品に魅了された。

納得できずに真っ黒に塗りつぶしたあと、もう一度、寝観音を書き上げた。失敗なりに最後まで仕上げて作品とした。失敗作を捨てないで描き切ったことで、得られたものがあったというコメントだった。

東京から美術館のある草津へ行く途中、浅間山が見えるんですが、これをいつか描いてみたいとずっと思っていました。

この作品は草津の牧場で描いたものです。そこからは浅間山がよく見えて観音様が横に寝ているように見えます。地元の人たちは寝観音と呼んでいまして、この言葉にも触発されました。

最初は色を沢山使って描いてみたんですが、これが納得できない。自分のイメージする寝観音じゃないんです。それで一生懸命描いた色を墨で塗りつぶしました。これはやるせない想いでした。一度描いた浅間山が消えていく、色が消えていく。「絶対甦らすから、この費やした時間を無駄にしないから」なんて言い聞かせながら、納得できないから、何度も何度も塗り直すんです。そのうち何度も何度も塗り直すんで絵の具が粉状になったところがあって、気になりそこをふき取ったんです。するとその下から前に塗った色がふっと現れてきたんですよ。

震えましたね。今までやってきたことが無駄ではなかった。しかもそれが何とも言えぬ色合いで浮かび出てきたんです。

その時に強く思いました。前にやったこと、つまり過去、現在の自分、そして未来、すべては一つにつながっていると。失敗は失敗ではないんです。絶対にあきらめてはいけない、失敗を成功につなげるために今がんばるということです。

そんな宗教的なことをこの作品を描くことで感じました。

岡鶴太郎 オフィシャル ウェブサイト / 美術館

DAY16「Work Day」

東京に戻ってホテルで仕事。草津温泉と新宿をつなぐバスタ新宿は、すばらしいバスターミナルだ。明日は朝イチで富山へ。

DAY17「軽トラ」

はじめて軽トラを借りたけど、座席直角でエモいし積載能力がハンパない。

思えば、近所は農家が多くて軽トラが多い。田んぼの用水路もあって綺麗な水が流れている。GWの田植え前の代搔き(しろかき)までは生き物たちの住処になる田んぼで、鳥が何かをついばんでた。

うすうすそうかなと思っていたんだけど、家の庭にスズメが多い。物音を立てると50羽くらいの大群が逃げていくし、昼間はずっとみんなで鳴いている。聞いたことない鳴き方をしていて、確実にみんなで会話してる。

庭にコンポストがあったので中を覗くと、ワラジムシなどがたくさんいた。そっとふたを閉じた。

DAY18「ヤモリさん一家」

布団をすべて捨てた。旅館かと思うくらいの量だった。物を所有するにも、捨てて入れ替えていく風通しの良さが必要だ。ライスキーパーも捨てた。6俵入る大きさだったので気が重かったけど、軽トラで余裕だった。

車庫の整理をしてたらヤモリが10匹以上出てきて焦ったけどかわいかった。これからも近隣に住んでいただいて、虫を食べててほしい。触っても逃げないし、むしろこっちに向かってきたヤモリもいた。

片付いたらバルサンを焚こうとも考えていたけど、ヤモリをみてやめることにした。車庫も絶妙なバランスの上に成り立っている。強力なエネルギーをもってリセットしてしまうのではなく、どういう土地であるか観察しながらリデザインしていきたい。

ホームセンターでこれからの生活のイメージを膨らませた。アスパラガスの株植え、窓のサッシのコーキング、ポストを新調しようか、ついでに宅配ボックスもどうか、野菜の種と花の種。耕うん機やケルヒャーをレンタルできないか夜調べてみようと思う。部分的にダスキンに掃除をお願いした場合の料金もざっと見てみる。最近の生活は、夜はBASE(家)で今日の振り返りと明日の作戦を練り、昼間はFIELD(外)でミッションを遂行する生活だ。

1日の最後に、ホーローの容器とぬか床を買ってぬか漬けを始めた。

DAY19「共に生きよとコンポストがつぶやいた」

ワラジムシが嫌いなので何か良い方法はないかと1日考えたけど、真っ向から向き合う以外なさそうなので、朝イチでコンポストの処分に向かった。持ち上げてみたらコンポストの底が抜けていた。というかそもそも底がない構造だった。「この蟲たちと共に生きよ」そういうことだ。分断されたと思っていた世界が、実は底でつながっていた。世界は1枚の地面で繋がっているし、1球の地球にへばりついている。

ここは畑だった所だ。近年は畑をまったくやっていなかったので畝(うね)などなく、固い地面になっている。さぁ農地開拓である(白目)。

夜は冷凍餃子を焼いた。そういえば旅の道中で知ったことなんだけど配膳の仕方、だいたいがご飯が左手前、味噌汁が右手前、おかずが奥だけど、これは東西で違う。関西はご飯が左手前、味噌汁が左奥、おかずが右手前のようだ。どう考えても関西式の方が効率的だと思ったので、関西式を導入することにした。おかずが食べやすくて、味噌汁をひっくり返すリスクも減る。
味噌汁の配膳 東西で違い 商人気質 ルール変える(もっと関西): 日本経済新聞

餃子を焼きながら、これまで鉄のフライパンを育てては捨ててきたなぁと思った。ぱっと見は同じ場所にいても、一周してそこにいることもある。必要なものを大切にするために、いらないものを捨てる必要がある。

ホームセンターで売っていたジャガイモの種イモは、土に植えれば量が10倍に増える。買ってきた大根も糠漬けにすると10倍美味しく食べられる。自然の働きに加わったり、農法、プロバイオティクスで数や価値が増えたりする。大根のぬか漬けがおいしい。

DAY20「新月のホタルイカ」

今宵は新月。富山の春の新月といえば「ホタルイカの身投げ」といって深海から沖に産卵にやってくる。大量に水揚げされたホタルイカは、たぶん豊洲市場を経て日本全国へ流通する。月の満ち欠けに日本は連動している。ホタルイカを掬いに行きたかったけどあいにくの雨なので、スーパーでゲットしてホタルイカのペペロンチーノを作った。

DAY21「天神様」

神棚と仏壇の掃除をした。神と仏の家も綺麗になった。神棚は持っていた天照大御神と地元の神社のお札の2体を置いた。仏壇から父方の祖父母の写真がでてきた。

富山は、菅原道真を「天神様」として信仰する天神信仰が強い。子供の頃は学問の神様だよと教えられる。この天神様の掛け軸が、年末から1ヶ月間ほど掛けられる。

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