はじめに

Webプロジェクトマネジメント標準」を元に、自分自身が理解しやすいような形で要約メモしておきたいと思います。

プロジェクトを確実に成功させるための道筋づくりがプロジェクトマネジメントであり、その方法を体系化したフレームワークがPMBOK(ピンボック/A Guide to the Project Management Body of Knowledge)です。そのPMBOKをひとつの教科書としながらWebプロジェクトマネジメントのやり方を追求したものといったところです。

今後は「こういうやり方で仕事をするぞ!」とあまり力まないで、その都度プロジェクトにとって必要だと思われるものだけを適用していくことが重要なのだと思います。 例えば、小規模なプロジェクトではわざわざ契約書を作成しないで、見積が契約の代わりになるケースもあります。必要ない項目はバッサリと切ってしまう柔軟性が必要だと思います。新聞を全部隅々まで読まないですよね。なんかそんな感じだと思います。

Webプロジェクトマネジメントと書きましたが、Webに関わらずあらゆる業種に対応できるものだと思います。また、発注する側も知っておいた方がいい情報が満載です。全部で10数回の記事になると思いますが、どうぞよろしくお願いします!

早速ですが、つかみとしてはバッチリな内容があったので、推敲して引用してみたいと思います。

「我が社は次の事業の柱として人材派遣業に参入することを決定する」

取締役会における役員の合意のもと、社長のこの号令によって新規事業がスタートした。同時にサービスの窓口となるWebサイトの立ち上げ準備が始まり、以前から取引があって信頼できる制作会社に仕事を依頼した。11月末のことである。

Webサイトのオープンは翌年3月。4ヶ月の作業期間というのは、システムが絡む案件としてはタイトなスケジュールだった。しかし社長はなんとか新年度から新規事業をスタートさせたいという強い意向があり、なんとかそれまでに間に合わせる必要があった。

12月、サービスの詳細がなかなか確定せず、作業が本格的に始められないのである。スケジュールを優先することに決めた制作会社は、詳細な仕様が決定する前にシステム開発に着手することにした。
発注側と受注側には信頼もあり、それぞれのモチベーションも高く、「トラブルがあっても一緒に乗り越えよう」そんな意気込みが勝っており、仕様の詳細や追加費用についての話し合いがされていなかった。

Webサイトの詳細仕様が決まったのは、1月末のことだった。確定した仕様では、プロジェクトスタート時に描いていたシステム設計を大きく変更し、全体のページ数も大幅に増やす必要があった。これは大変な作業になると判断した制作側は、スケジュールの延期と費用の追加を泣く泣く申し出た。
受注側は、追加費用を払うことには同意したが、プレスリリースもすでに発表済なのでスケジュールはどうしても守りたいと制作側に伝えた。

3月のオープンに間に合わせるべく、制作作業は急ピッチで進められた。何とか形にはなったが、もはや余分な時間は一切残されていない。結果として十分なテストを実施しないまま、人材派遣事業サイトをスタートする他なかった。

そうして迎えたオープン当日。恐れていたことが起きてしまった。「登録ページが表示されない」というクレームが大量に寄せられた。さらにその2日後、依頼したはずのキーワード広告が出されていないことが分かった。
サービススタートに備えて大量の広告を打っていた 人材派遣会社の怒りが爆発した。今回受けた被害の代償として、支払う制作費の大幅減税を前提に、制作側にミーティングを打診したのだった—-。

発注側はこれまでの経験に基づいて作業を進めたはずで、制作側も制作の方法論をもって制作にのぞんだはずです。しかし、両者が持っていた経験と方法論ではリスクを回避できなかったということです。これは、プロジェクトマネジメント不在が引き起こしたトラブルなのでした。

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