このところ考えていたことと本の内容とが共鳴して、とても爽快な気分ですわ。
あと、El Capitan(Mac OS) のライブ変換、こういう記事書く時なかなか威力を発揮した。

さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法」を要約メモ。

Facebookなどのソーシャルメディアでつながれば、名刺は必要ないと思うかもしれない。だが、実際はそのようにはならず名刺は未だに使われている。これは名刺が単なるコンタクト情報の交換ではないからだ。

電話が発明された当初、その呼び出し音は重要なメッセージの到来を告げるものだった。緊急性を十分に伝え、そしてみんなに大歓迎された。だが現代人の反応は違う。「なんでメールじゃなくて電話なんかで割り込んでくるんだ?」

人間は、普段使いの道具類に関しては一番楽な道をとり、便利さや使い勝手を何より重視する。テレビのチャンネル切り替えなら、その時刻にテレビの方で自動的にチャンネル切り替えをしてくれれば、音声入力さえ不要だろう。

「My BMW Remote アプリがあれば、車のドアのロック解除やエアコンの起動など、色々な操作ができます!」この My BMW Remote を使った場合の驚異的な使いごごちは以下の通り。

  1. 車のところに行く
  2. スマホを取り出す
  3. スマホのスリープを解除する
  4. スマホのロックを解除する
  5. 前に使っていたアプリを終了させる
  6. 前に開けてあったグループフォルダを閉じる
  7. 画面をスワイプして、山ほどあるアプリの中から目指すアプリを探す
  8. 目指すアプリのアイコンをタップする
  9. アプリが起動するのを待ち、起動したらロック解除用とおぼしきボタンやタブを探す
  10. メニューを見て、試しに[control]のタブをタップしてみる
  11. [unlock]ボタンをタップする
  12. スライダーをスライドしてロックを解除する
  13. 手でドアを開ける

目標は車のドアを開けること。1と13以外はインターフェイスでやらなきゃならない操作ばかり。

世界中に点在する、第二のシリコンバレーを目指すイノベーション・センターは80ヶ所以上ある。

インターフェイスありきの考え方で、いろんなものにインターフェイスをくっつけてしまった。
テスラはセンターコンソールに17インチのタッチスクリーンをつけた。エレクトラックスは冷蔵庫にタッチスクリーンをつけた。氷を取りに来たついでに Evernote をチェックし、自動製氷機の上で Facebook や Twitter をチェックできるようにした。

UI と UX をいつの間にか混同してしまった。

サイトやアプリに共通する目標は、極力大勢のユーザーをログインさせ、極力長居をさせて、インターフェイスをいじくらせること。

Google の創業者のひとり、ラリー・ペイジは、10年前の株式公開の直前はこう言っていた。「検索エンジンのユーザーには極力短時間で検索を終えてGoogleから出て、本来の目的のサイトへ行ってもらえるようにしたい。」ところが今のGoogleはその正反対のことをやっている。情報を極力多く提供して、Googleの世界にユーザーを繋ぎ止めようとしている。

UI と UX を混合するのをやめよう。中毒に甘んじてなんかいないで、自分自身の目標を優先しよう。有害な光を発する画面を見つめて新着通知のチェックなんかしてないで、本物の世界と触れ合い、暮らしと健康にバランスを取り戻そう。画面のその先へ目をやり、頭を使うのだ。

スマホの通知オンも振動もオフにできるし、通知だって全部拒否できるのに、通知の洪水に飲み込まれるのがすっかり日常化してしまって、「大事なお知らせを見落としたらどうしよう」と思いつめ、幻の音や振動を感じてしまう人が信じられないほど多いのが現状なのだ。

スマホ向け行動パターン記録アプリ Moves は、自転車で走った道筋や歩いた歩数を記録するなど、ユーザーの1日の行動パターンを記録するアプリだ。Moves は公開当初から際立った特徴があった。ポケットの中で仕事をするようデザインされたアプリというコンセプトだ。

2011年に注目を集めたアプリ「Square Wallet」は、これをインストールしたスマホをポケットに入れて、目指すカフェの半径100メートル以内に近付けば、名前と顔写真がその店のレジに表示され、入店したらカウンターで品物を受け取り、名前を言うだけで決済完了というものだった。

マッキンゼー&カンパニーもこうアドバイスしている。「顧客分析で得られたデータの活用を推奨する企業は、顧客維持率が6.5倍、既存顧客への販売で競合他社をしのぐ可能性が7.4倍、平均を上回る収益性を達成できる可能性が19倍近い」
たとえばデザインの初期段階で、言葉ではなかなか表現できない雰囲気や価値観を共有し、イメージ作りに活かすための「ムードボード」。あと、ユーザーにまつわるストーリー、デザインしようとしている製品やサービスの対象のペルソナ、その仮想ユーザーがその製品やサービスを使うときの行動やふるまいを想定したシナリオなど。しかし、ここで創造エネルギーの流れが止まってしまう。鋭い洞察力が、生きた有機的な本質が、非人間的、機械的なものと化してしまう。問題に目を向けるより前に、「まず画面を」と考えるからだ。

フォードの設計チームは、リアバンパーの下に、人間の足の「蹴り」を検知して作動するセンサーを付けた。両手で重いものを抱えてトランクまで運ぶという流れを無理なく受けてシンプルかつ容易にできる「蹴り」の動作だ。

世界一イラつく声は、コンピュータが出す声だ。

「エラーです。先へ進むには[本規約に同意する]ボタンを押してください」人間がコンピュータにこき使われている。

完璧な情報やシステムは、消え失せてしまう。つまり日々の暮らしという生地に織り込まれて一体化し、周囲との区別がつかなくなってしまうのだ。だがそれは実現せず、コンピュータは依然独自の世界に閉じこもったままの状態にある。

毎晩、毎週、毎月こなさなくちゃいけないデジタル雑用は、不可避で面倒という意味ではゴミ出しと変わらない。たいていは人間がコンピュータに命令されてこなす雑用に過ぎない。

平均的なユーザーを満足させられるデジタル機器のインターフェイスなんて、一つ作るだけでも本当に大変なこのなのだ。とどのつまりは「平均的なユーザーの世界観」どころか誰の世界観も反映しないインターフェイスが出来上がるのが相場。

話しかけられたら答える事後対応型(リアクティブ)の会話じゃなく、ひとりひとりの唯一無二のニーズを事前対処型(プロアクティブ)で支援してくれるものを目指したい。

Early Sense という非接触型の患者監視システムがある。患者の寝てるマットレスの下に設置すれば、患者に一切接触しないで心拍数や呼吸数、ベッドの上での身体の動きなどをモニターしてくれる。体験に追加するのではなく、体験の一部となって、病気や怪我で寝てる患者が、一日中より快適に過ごし、よりよく眠るのを支援してくれる。

NoUIのコンセプトにまつわる極端な状況で発生する稀なケース(エッジケース)はあるだろう。

ボタンは目障りだし、GUIも美的観点からは優雅とは程遠い。しかし複雑なシステムの端っこに明示的なコントロールを用意して、それをユーザーが直接操作できるようにすれば、ユーザーの不安を未然に防げるだろうし信頼関係も築けるだろう。この場合のGUIは体験じゃなく、プライバシー保護のための高度な設定の一部なのだ。

本当に大事なものから人間を引き離すことなんてしない製品やサービス、人の暮らしという織物にさりげなく織り込まれた製品やサービスを生み出したい。

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