「アパレル業界の動向とカラクリがよーくわかる本」を元に要約メモしておきたいと思います。
市場の動向と消費の変化
アパレル業界の市場規模
アパレル製造業は1兆3千億円、アパレル卸市場は11兆4千億円、アパレル小売市場は12兆3千億円の市場規模。
アパレル市場のマーケットサイズ
アパレル主要3部門(国産アパレル、インポートアパレル、インポート服飾雑貨)の中で一番大きいのは婦人服、紳士服、婦人・紳士のニット・カット類(Tシャツなど)、そして子供服となる。
ベビー・キッズマーケットの新潮流
子供の数は減っているが、年間100万人以上の子供が生まれている。1〜14歳のトゥイーンズ市場で1800万人いる。子供一人あたりに年間60万円程度かけるとして、年間のキッズ市場規模は約11兆円。
マイオリジナル需要の拡大
ワントゥワン型セレクトショップなど、年齢層でセグメントされたターゲットに対して、一人一人の好みを考えてあらゆるニーズを満たすような提案などが必要。
モバイル通販という新しいチャネル
2007年のモバイルビジネス市場は1兆1464億円。物販の中でもアパレル関係(洋服、雑貨、アクセサリー)は非常によく売れるアイテム。
若者から大人の時代
20代前半〜30代前半の大人向けのブランドや、30,40代の大人の女性をターゲットとしたものなど。
ファストファッションブランド
ユニクロ、GAP、ZARA、H&Mなどのブランドを、ファストファッションブランドと呼ぶ。ファストフードに倣って「早い・安い・おしゃれ」。低価格だけが売りな訳ではなく、常に新しい商品開発、新たな仕掛けをするといった新鮮感が重要。
アパレル業界の構造
アパレル業界の構成メンバー
- 川上:原料の生産
- 紡績メーカー
- 合繊メーカー
- 染色加工業者
- テキスタイル業者
- 商社
- 川中:商品の生産
- アパレルメーカー
- 縫製メーカー
- 卸売商・問屋
- 川下:小売への流通
- 百貨店
- GMS
- 専門店
世界に誇る日本のテキスタイル産業
国内産地企業が一体化して、素材開発や効率的な販売で連携しようという取り組みがスタートした。総合繊維見本市のジャパン・クリエーション(JC)など。
アパレル卸商の実態と特徴
日本のアパレル卸商は7種類の企業タイプに分けることができる。
- 中央卸商(アパレルメーカーの多くはここに分類される)
- 地方卸商(掛売卸と現金卸の2種類がある)
- 産地卸商(いわゆる産元商社)
- 海外メーカーの代理店
- 輸入商社
- 金融商社(いわゆるバッタ屋)
また、アパレル卸を機能別に分類すると、製造卸と製品卸に分かれる。
アパレル小売業の実態
小売業は大きく分けて、百貨店、GMS、専門店の3種類。
しまむら、ハニーズ、ユニクロなど、売上を伸ばしている企業の共通点は「利益性の高い商品群への集中」「サービス体制を強化した売場オペレーション」「売れ筋を的確にフォローする商品投入体制と物流体制の整備」。
企画・生産・販売の仕組みと仕事
モノと情報の流れ
様々な企業を通して製品から商品へと変化していく商流、マーケティングなどの情流。この2つは欠かせないビジネスフロー。
アパレルとマーチャンダイジングフロー
よりお客様に近い視点で商品を企画・製造・販売していくための戦略がマーチャンダイジング(MD)。MDの6適と言われる6つのポイントは以下。
- 適時(お客様の欲しいときに)
- 適品(お客様の欲しいものを)
- 適価(お客様の欲しい価格で)
- 適量(お客様の欲しい量だけ)
- 適サービス(お客様の欲しいサービス)
- 適場所(お客様の欲しい提案で)
展示会の意義
取引先別仕入条件確認リストの例。
- 掛け率(例:55%)
- 取引形態(例:条件付き買取)
- 返品対応
- 納期(例:毎月20日)
- ペナルティ条項(例:納期遅れの場合のみ掛け率3%変更可能)
- 追加発注
- 値引対応
- 期末対応
- 商品交換
- 掛け率交渉の有無(例:月額500万円以上で可)
- 補足(例:毎月メールで消化率を報告)
「下代は上代の5掛けで」とは、卸値は店頭販売価格の50%という意味。
生産管理の本質
一般的には、生産ロットが少なく単価が高く、ディテールにこだわる商品の場合は国内の縫製工場。生産ロットが大量で単価はそれほど高くなく、一定の基準をクリアすればよいという場合は海外工場。また、縫製工場にはニットが得意、ジャケットが苦手など、それぞれ得意・不得意がある。
品質管理が無ければ商品にはならない
品質管理が徹底できている企業
- 品質にこだわっているので取引の主導権が握れる
- 品質に自信があるので積極的な提案ができる
- 値引・返品がなくなる
- サンプル代はかかるがアフターフォローにかける時間は少ない
- 収益性が向上する
- 生産性の高い企業となる
品質管理が徹底できていない企業
- 品質が悪いと主導権がとれない
- 品質が悪いとクレームが増える
- クレームが増えるとクレーム対応が増える
- 値引を要求される
- 返品・交換を要求される
- ブランドイメージが落ちる
- 企業としての信用がなくなる
- 生産性の低い企業となる
販売計画とプロモーション戦略
広報(PR)
- ニュースリリース
- プロダクトプレイスメント
- 出版
- PR誌
- PRイベント
- 音楽タイアップ
- 映画タイアップ
- 番組タイアップ
- 企業コラボレーション
- 商品開発
マス広告
- テレビ
- ラジオ
- 新聞
- 雑誌
- 交通広告
- 野外看板
SP広告
- 会社案内
- DM
- ホームページ
- プロモーションビデオ
- POP
- プレミアムキャンペーン
ネット広告
- バナー広告
- リスティング広告
ネットPR
- ブログ
- SNS
- SEO・SEM
ブランド浸透ツール
- コンセプトブック
- クレド
- 経営方針発表会
アパレルの職種
- デザイナー
- パタンナー
- プロデューサー
- マーチャンダイザー
- 営業
- プレス
- ファッションアドバイザー(FA)
- スタイリスト
- バイヤー
ファッション市場とマーケティング
ファッション市場の領域
衣・食・住は密接に関わっており、食や住から出たファズ(一時的流行)が融合し、トレンドを作り、アパレルに影響を与えるといった流れもある。
レディスウェアの注目市場
レディスアパレル業界は、大きく4つの業界に分かれる。
- 婦人服業界(重衣料。スーツ、ジャケットなど)
- トップス業界(ニット・カット、シャツ・ブラウスなど)
- ボトムス業界(パンツ、スカートなど)
- フォーマル業界(パーティドレス、喪服など)
メンズマーケットの可能性
メンズウェア業界は、大きく3つの業界に分かれる。
- 紳士服業界(重衣料。スーツ、ジャケットなど)
- 布帛(ふはく)業界(ドレスシャツなど)
- カジュアル業界(ニット、カジュアルウェア)
人口減少化のベビー・キッズ業界
ベビー・キッズは、3つの市場で構成されている。
- ベビー(生後0ヶ月から24ヶ月までの乳幼児)
- トドラー(2歳から5歳までのキッズ)
- キッズ(6歳から12歳までの小学生)
ジーンズ・ユニフォームの二極化
- PZ:プレステージゾーン(20,000円〜)
世界を視野に入れたブランド開発の必要性、メイドインジャパンブランド - BZ:ベターゾーン(10,000円〜)
形状、縫製、染色など品質訴求型の企画 - VZ:ボリュームゾーン(5,000〜9,999円)
高回転商品の企画開発 - SZ:サービスゾーン(〜4,999円)
低価格市場の拡大
雑貨が主役になる時代
雑貨は、トータルファッションを完成させるための必須アイテムグループとして、大きくひとつに集約してカテゴライズしている。
顧客セグメンテーションの考え方
- スキミング層(5%)
自分なりの価値観を持ち、高額商品でも購入する。 - イノベーター層(15%)
スキミング層の動向を参考に、自分の価値観を形成する層。 - フォロアー層(35%)
横並び意識が強く、常に平均以上でありたいと願う層。 - ペネトレーション層(45%)
いわゆるバーゲンハンター。価格意識が強く、価値には反応しない。
グレードテイストマップ
ターゲットを決定した後は、価格とテイストを検討していく。その際に活用するのがグレードテイストマップ。
- 情緒的機能重視型
デザイナーロイヤリティ。単品にもこだわり。 - 付加機能重視型
ブランドロイヤリティ。品質の高さを徹底アピール。 - 基本機能重視型
ストアロイヤリティ。アパレル以外の商品との融合、一体化。
マスメディアとファッション
テレビや雑誌がファッションを作る時代が終わったが、いまだに消費者の購買行動に大きな影響を与えているのがファッション雑誌。
音楽とファッション
特にティーンズファッションのほとんどは、音楽のトレンドから生まれてきていると言っても過言ではない。
商慣行とアパレル業界の課題
時代に逆行する商慣行
契約書を交わす取引は売買契約で約3割、委託契約で約5割程度。返品、値引、その他の対応は「まぁよろしく」という曖昧な感覚で決定されていることが多い。たくさんの商品を仕入れて、決済日までに売れたものは代金を払い、売れ残ったものはメーカーに返品するという委託契約が日本の大手企業で一般化したが、その支払い期日を守らない小売業者が出てきたことや、メーカー側もこうした状況を利用して、「残ったら返していただければ」といったとにかく商品を送りつけるやり方が当たり前になってしまったことなどが背景にある。
百貨店の取引改革
- 買取仕入れ
納入メーカーや卸売業者から買い取って仕入れること。売れ残ってデッドストックになったものは返品できないので、仕入れた小売側の責任で値下げなどによって処分しなければならない。
委託や売り仕入れに比べて利幅が大きいため、高い粗利益率を確保できる。 - 委託仕入れ
事前に決められた期間、納入メーカーから商品を預かって販売を委託される仕入れ。期間中の在庫責任はあるものの、見切りによる値下げロスのリスクは納入メーカー持ち。売れ残り商品についても、納入メーカーが引き取らなければならない。 - 売上仕入れ(売り仕・消化仕入れ)
委託仕入れと似ているが、在庫管理責任も納入メーカーが持つ。在庫コントロールはすべて納入メーカーに主導権がある。通常はショップ形式をとることが多く、これを「ハコ売場」と呼び、買取、委託商品を小売側の販売計画のもとで編集した売場を「平場」と呼ぶ。百貨店がハコ貸し業と呼ばれるのは、こうした取引形態による。
仕入れて売る力の低下
ますます情報が溢れかえり、何が正しく、何が必要なのかが非常にわかりにくい時代となるため、小売業の存在意義は大きい。
流通の複雑さがもたらす高コスト構造
成長期は複雑な流通経路が活きた時代もあったが、安定期を過ぎた今では、できるだけシンプルな流通が必要。
強いブランド育成の遅れ
ドメスティックな日本のブランドと比べ、世界のブランドには以下のような特徴がある。
- オリジナリティがある
- 品質に対して妥協しない
- 自国の伝統、文化、生活様式に根ざした商品づくりを心掛けている
- 必ずトータルライフスタイル提案を考えている
- 長期間にわたって支持されるブランドづくりを前提としている
男の目・女の目
常に複雑な視点を持ち合わせることが必要。男と女では、やはり微妙に持っている感覚が異なる。
SPAはすべてを解決する業態か
メリット
- 鮮度のよい商品を適切なタイミングで投入できる。
- 中間コストを省き、適切な価格で商品開発ができる。
- 結果的に粗利益率を高くできる。
- 商品のクオリティを維持しやすい。
- チャンスロスを減らすことができる。
デメリット
- お客様の感覚とズレた場合に取り返しがつかない。
- 生産現場との密なコミュニケーションがなければ、品質の低下が起きる可能性がある。
- 売れ残りが発生した場合は廃棄ロスが発生するため、粗利が低下することも考えられる。
- 自社ブランドが飽きられた場合に、他ブランド商品を持っていないために対応が遅れる。
- 企画から販売までの一貫したオペレーションができているかどうかの定期チェックが必要。
異業種との競合激化
ケータイやiPod、海外旅行、カフェなど、新たな支出が増えて来た。
飽きる期間
- パソコン:698日(1年10ヶ月)
- ネクタイ:446日(1年3ヶ月)
- 衣料ブランド:1071日(2年11ヶ月)
- お出かけ着:648日(1年9ヶ月)
- ケータイ:534日(1年5ヶ月)
街・ブランド・店舗の新しい動き
街を見ると次が読める
- 代官山
若いパパとママに向けたファミリータウンに変わった。 - 銀座・有楽町・丸の内
世界中で最も最新のブランドが集まる街。ビジネスマン、キャリアOLを対象に感度のよい店が集結。 - 渋谷
大学生〜新社会人までの衣食住が充実。公園通りを中心に渋谷の大人化計画進行中。 - 原宿
中学生〜高校生を集客する裏原と、20〜30代をターゲットにする表参道通り、40代以上をターゲットにする青山に囲まれた、ミックスジェネレーションの街。 - 中目黒
こだわりを持った若者〜大人に向けた、口コミで人気の衣食住、特に住関連が充実。 - 新宿
あらゆる国のあらゆる年齢層に対応するエリアを持つ日本最大の商圏人口を持つ街。 - 白金
30〜40代のミセス層のライフスタイルに注目。 - 二子玉川
東京のラグジュアリー層が最も集まる。
コラボレーションが変えるビジネス
異業種とのコラボレーションが一般化してきた。大きな消費トレンドは「モノからコトへ」という変化。
百貨店の個別対応戦略
カード顧客の分析をして、個別に対応(CRM戦略)できるようになってきた。
インディーズブランド育成の動き
流行というものとは少し異なる、大人のファッションブランドを提案するドメスティックブランドが育ち始めている。Scye、MIHARAYASUHIRO、SLOWGUN、ジョン・ローレンス・サリバン、N.HOLLYWOOD、soe、JULIUS など。
セレクトショップの新しい動き
自社の価値観に共鳴・共感してくれるお客様だけに衣食住のすべてをトータルで提案する、コンセプトショップなど。お客様は、自分の感覚にぴったり合ったスタイルをトータルで提案してくれる店で買いたいと思っている。
起業・人材・アウトソーシング
アパレル業界における起業のあり方
- 品揃え専門店
複数の仕入れ先から商品を仕入れて、品揃えして販売する店。 - オンリーショップ
あるひとつのブランドだけを品揃えして販売する形態。 - SPA
明確なコンセプトに基づいて生地を仕入れ、パターンをおこし、縫製工場に発注し商品化し、それを店頭で販売するまでをトータルで管理運営するやり方。 - FC
フランチャイズチェーンを運営している企業に参加して、そののれんで商売をするやり方。 - 販売代行
メーカーの販売だけを代行して行う形。 - 無店舗販売
ネット通販などで商品を販売するやり方。 - M&A
既存企業を買収して経営権を握るやり方。
アパレル業界で必要な知識
- 企画とは、アイデア、ヒント、ひらめき、イメージをよりビジュアルに具現化させたもの。
- デザインとは設計図であり、ディテールおよび各工程にわたって設計されたもの。
- 企画はずれが一番のロスリーダー。品種によるロス率を知ること。
- 商品企画は継続され、かつその企業の良さを育成させ得るもの。
- 当たる商品とは、前準備が十分なされたもので、かつ分類されているもの。
- 製品工程では、誰と組むのかが大事。
- 生産ロットは、素材、工程、服種、納期、デザイン、ディテールによって決まる。
- 附属品は、1枚あたり量と発注ロットの端数をどう処理するか。
- 生地値は、原価に対して、物流、金利、さらに相場値が大きく影響する。
- よい工場は、よく整理されている。
- 生産効率は、ムリ・ムラ・ムダの排除。
- よい仕様かどうかは、下地づくりを見るとチェックしやすい。
- よい仕上げとは、生地の目を通すこと。
- セーター業者の経営状況はチェックする。
- 毛質・混紡率による原料コストのほかに、糸相場による変動がコストを作る。
- 編み立ては基本的に腰の強さで決まる。
- カット&ソーは部分サイズをチェックする。
- 製造工程ごとに仕様チェックを必ず行う。
- 完全なモデル(サンプル)を仕上げてからGO。
- 売れる商品は企画段階で決まる。だから細部までチェックして、それは常にリピートすること。
アパレル業界とアウトソーシング
- アイデア
コンサルティング会社 - 会社設立
税理士 - 出資
銀行、新創業融資制度、新規開業資金など - 商品企画
商品企画会社 - 生産・物流
企画会社 - 店舗
不動産業者、内装業者 - 販売
販売代行会社、人材派遣会社 - 棚卸し
棚卸し代行会社 - 決算・税務申告
税理士
コンセプトとブランドの将来像
コンセプトだけを売る時代
極論すれば、企業はモノを売る必要はない。自社の考え方だけをお客様に買っていただくようにする。商品がなくてもお金を払いたくなるほど、会社の考え方を明確にしておけば、自然とモノも売れていく。コンセプトを売る企業は、押し込んでまで売らない。自社の考え方を伝えているだけ。
所得の8層化現象
- 超マル金
- マル金
- ニュー・ラグジュアリー
- 中間層
- 中間層(子供の教育費の負担がある層)
- 不景気層(無賞与)
- リストラ・倒産・フリーター
- マルビ
パラサイトシングルと呼ばれる家つき親つきお嬢様の消費支出は40万円近くある。中間層にも、子供の教育費の負担がある層とない層とがある。
ストーリーマーケティング
お客様にモノを買っていただくために、共感を生むようなストーリーを付けること。その商品が生まれた理由や企画した理由、きっかけ、それを作り上げるまでの苦労など、お客様はその商品にどんなストーリーがあるのか、その背景を知りたいという欲求が強くなっている。
シルバーよりアクティブエルダー
今はまだ元気に働いているけれど、10年後にはシルバー層に含まれていく層をアクティブエルダーと呼ぶ。彼らの特徴は以下
- 自分を大切にしてくれているかどうか
- 人とのつながりを重視する
- もう一段階上の自分を目指したい
- 独自のスタイルを築きたい
トップほどディテールにこだわる
トップはディテールにこだわる。ディテールを大切にする会社は、いつの時代にも成長することができる。