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クリエイティブ思考は止まらない

もくじ

1. はじめに

デザインの前提 ——センスはどこで決まるのか

デザインの前提|付記 ——思考の座標をつくったもの

「デザインの前提」の前後編で、これまで何年も書き溜めてきたことを、できる限りシンプルな構成で言語化しました。

バズるために投下したものではなく、必要な時に参照してもらえるように、そっと置きました。

本編で伝えたいことがブレないために、全体構成の都合で書けなかったことを、ここで書いていこうと思います。

俗っぽいことを、あとがきにかえて。

2. 加速するスマホ認知症とAI

スマホ認知症とは、スマホそのものが原因なのではなく、思考・記憶・判断を必要以上に外部ツールに委ね続けた結果、認知機能が慢性的に疲弊した状態のことです。

必要のない情報や通知によって脳内メモリが圧迫されて、その状態が常態化することで、認知症に似た症状が現れます。

2-1. 症状

通知に過剰に反応して、重要度の低い情報にも即時対応してしまうため、思考の深度が浅くなります。

集中力が続かず、文章や会話の要点を最後まで保持できません。短期記憶が弱まり、考える前に調べて、調べた結果をそのまま使う状態が習慣になります。

2-2. 原因

スマホのアプリからの通知や即時反応によって、脳の報酬系が過剰に刺激されていることが原因です。

思考・記憶・判断を外部ツールに依存する習慣が続くことで、本来使われるべき認知機能が使われなくなり、思考停止に近い状態になります。

2-3. 具体例

人と話している最中にも通知を確認し、数分間スマホ操作を続けてしまいます。

仕事の連絡をLINEで受け取り、プライベートの感情と業務判断が分けられない。常に何かを確認していないと落ち着かず、通知が来るたびに集中が中断されます。

2-4. 対策

通知はしっかりと制御して、必要な情報だけをこちらから取りに行く設定にします。

SlackとLINEの組み合わせのように、仕事と私生活で使うツールを明確に分けて、集中する時には通知を遮断します。ツールは一度決めて終わりではなく、定期的に見直し続けることも重要です。

2-5. 加速するAI

スマホ認知症はスマホを介したものですが、同じ構造はAIによってさらに加速すると考えています。ディスプレイを持たないデバイスに対しても、依存や中毒になる危険性も秘めていると思います。

便利なツールに善悪があるのではなくて、問題は使い方であり、どこまでを委ねて、どこからを自分の知能で引き受けるのかを意識的に設計しなければ、思考は容易に外部化されていくと思います。

また、「AIをうまく使えるようになりましょう、プロンプトを学びましょう、そうしないと使う側ではなく、使われる側になってしまいます」のように言われてきましたが、現実は違いました。

AIを使うだけの側と、AIを作る側とに分かれ始めました。

そもそも人間の頭が知能そのものであり、その知能を生かさない限り、どんなAIを使ってもアウトプットは変わりません。

3. 時代を捉える力と、POPさの注入

自分が好きかどうかに関係なく、多くの人に受け入れられているコンテンツは意識的に体験します。それがなぜ人気なのかを分析して、誰かに伝えられるまで咀嚼して言語化します。

もし、そのコンテンツがどうしても好きになれない場合は、感情的に切り捨てない。なぜ受け入れられないのかを分析して、自分自身をペルソナとして、このコンテンツを好きになってもらうには何が必要かを考えます。

この姿勢は、クリエイティブと深く共通していると思います。ものづくりは、自分の好みだけをなぞる行為ではありません。時代の空気や受け手の感覚を読み取って、必要に応じて表現の引き出しを切り替える行為です。

4. 具体的な例として「地面師たち」

具体例として、Netflixの「地面師たち」を挙げます。

3回観たと話すと、そんなに面白かった?と驚かれることも多いのですが、繰り返し観ることで、作品の構造や制作側の意図がより立体的に見えてきます。さらに、人と話すことでまた新たな視点が生まれてきます。

4-1. 視聴体験の設計

次のエピソード視聴につなげるクリフハングの使い方が非常に巧みで、エンディングでは緊張感を保ったままBGMが自然に流れ込みます。 映像のテンポと音楽のBPMが噛み合っていて、エピソードごとの視聴体験そのものが緻密に設計されている印象です。

4-2. ディテールとリアリティ

捜査二課の入庁証のデザインやオフィスの空気感など、細部の作り込みのクオリティが高いです。桜田門ではなく別庁舎で働いているなど、実情を知る人物が制作に関わっているのではないかと感じさせるリアリティがあります。近年、テレビ業界の人材がNetflixに流れているという話ともリンクします。

4-3. 誰も気が付かないこと

スーツが派手な人がだいたい犯人。横領事件などではこれが業界常識。幹部会の中に内通者(エス=協力者)がいる。贈収賄捜査では、公務員なのにスーツが派手すぎる人を探したりする。——らしい。

4-4. 表現とマーケティングの関係

死体や臓器の描写は非常にリアルで、作品を跨いだ専門チームの存在を感じさせます。

女性の裸を出さなかった。不自然なまでに下着を身につけて性行為をするシーンもあった。年齢制限のためだとしたら、性的な描写よりも暴力表現の方がレートが引っかかりそう。 性的表現は意図的に抑制されているように見えます。

Netflixが視聴行動を精緻に分析しているとすれば、露骨な性的描写は離脱や視聴体験の分断を招くノイズになり得ます。 次にどの動画を観ようかと迷っているときも、そのスクロールの時間などから、まるで視線を追うようにマーケティングデータを取得しています。

推測だけど、具体的な性的描写をしてしまうと、そこで離脱率が上がるのではないか。エロいシーンをみてムラムラして自慰行為をする人が一定数いて、そのシーンで動画再生の流れが変わっているのだとしたら、それは本来の魅せ方ではないので、ノイズを省きたい。なので、不自然なまでに性的描写のシーンでは、そのエロさのレベルを調整したのではないか。

話は尽きないのですが、とにかく好きかどうかは別として、なにかコンテンツを消費するのなら、ただでは時間を消費させないぞと、必ず何か持ち帰るぞと、いつでもクリエイティブ思考は持ち続けたい。

こうやって自分なりに抽出したものは、今後のものづくりで必ず生きてきます。

——観るか。ラブ上等、2回目。

5. ホワイト社会

SNSはすべて本名で登録して、いわゆる裏垢は作っていません。これは意図的にそうしてきました。

いずれサービス側が本垢と裏垢を結びつけるようになるだろうと思っていたし、そこが繋がってしまうこと以前に、アカウントを分けることで一人の人間の中に複数の人格を抱える状態になることに違和感があったからです。 ただし、この選択が正解か不正解かという話ではなく、性格的なものです。

ホワイト社会とは、やってはいけないブラックなことや、ギリギリセーフなグレーなこと、そのどちらもNGで、まったくのホワイトじゃないといけない社会のことです。

特にネット上においては、ブラックとグレーは徹底的に炎上するようになりました。

しかし、ホワイト社会であることを正しいものとして盲信するのも危険です。いわゆる過剰なコンプライアンス意識のもとで、本質を理解しないままルールに従う人が一定数生まれてしまうからです。

社会の価値観は固定されたものではありません。寄ったり引いたりしながら、その時代における適切な距離感を探って、微調整を繰り返すように変化し続けます。振り子が揺れ続けるように、ホワイト社会もまた、常にアップデートされ続ける過程にあるのだと思います。

6. クソリプの分類は8種類

俵万智の本「生きる言葉」で引用されていた、いわゆる「クソリプ」の分類図があります。

どんなに「当たり障りのない投稿」であっても、一定数以上に「拡散される」とクソリプがくる法則について分類されたものです。

具体例として「砂糖って甘いんだよなぁ」につくクソリプです。

  1. 甘く思わない人もいる。国民の総意みたいに言わないで欲しい。(主語決めつけ型)
  2. 世の中には味覚を感じられない人もいるんだが??(斜め上から型)
  3. 砂糖にも色々あり、人が感じる甘みは糖度だけじゃなく形状にもよる。一概には言えないかと。(一概には言えない型)
  4. 私は毎日砂糖を食べていますが、甘いと感じたことはないですよ^ ^(自分語り型)
  5. 砂糖が甘いというなら塩がしょっぱいということにも言及すべき。(クオリティ要求型)
  6. 私は昔から親に砂糖を禁じられていました。そういうことを言えるのが羨ましいです。(家庭事情申告型)
  7. うーん…^ ^;
    砂糖が甘いというのは一理あるけれど…
    レモンが酸っぱいと思うのは私だけ??(独り言型)
  8. 甘いから何??嫌なら食べなければいい(バカ)

こうして分類してみると、クソリプそのものに個性や構造があることが見えてきます。 感情的に受け取るのではなく、型として把握できれば、一定の距離を保って俯瞰することができるはずです。

もし自分がクソリプを受け取る立場になったとしても、それを単なる不快な出来事で終わらせず、クソリプの構造を分析することで、思考のトレーニングと成長につなげることができます。

この本は、ヒコロヒーのPodcastで話されていた本です。ヒコロヒーのBRUTUSでのコラムがXでバズり、その後日談なのですが、これがメタ的におもしろいのです。

生きる言葉|Amazon

ヒコロヒー「直感的社会論」:あなたになら話したい。 | ブルータス| BRUTUS.jp|Webサイト

岩場の女(ヒコロヒー): #66 コラム鬼バズ後のSNSを執念の大捜査|Podcast

7. さいごに

日々、正しいと思うことをやり、定期的に見直し、情報をアップデートして、違和感を感じたらこうして書き綴る場所、それが現代における、クリエイターである自分のWebサイトの存在意義です。

多くの人は、自分の習慣や考え方を変えようとするとき、まずは考えることから始めることが多いです。

しかし、考えるよりも前に、行動があります。考えが変わったから行動が変わるのではなく、行動を変えたから考えが整って変わっていきます。

脳科学的にも、脳がそう作られているのなら、まずは行動を。頭の中がポジティブであふれて、世界がキラキラしていきますように。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。まだ餅が余っていたら、お雑煮にいつもよりひとつ多めに餅を入れてくださいね!