ブランドとショップの関係
ブランドは有機体であり、それを扱う空間であるネットショップとは緊密な関係にあります。ネットショップは商品購入のための便利なシステムということではなく、インスタレーションそのものだというのが持論です。
主観と俯瞰のバランス
ネットショップを運営するスタッフ間では、お客様からのお問い合わせやその返信内容を共有することや、商品名を略さないこと、専門用語を使わないことなどの重要性が上げられます。しかしそれはいったい何のために?
そういったブランドの根っこが共有できていれば、事細かなマニュアルを作る必要なんてありません。それだけブランドやショップの軸を作ることは重要なことだということです。
しかしここには矛盾したものもあって、お互いに根っこを理解しているつもりでも感覚が大きく違うこともありますよね。それぞれの価値観から来る主観と、全てを俯瞰で見ることができる目などは、人それぞれ大きく異なります。これらは情報の共有のみで解決するのは難しいかも知れません。
会議は「人vs人」ではなく「意見vs意見」だということを、会議に参加する全員が理解しておく必要があります。チームのリーダーを決めるなど、誰かに権限をあたえることでスムーズに前に進むことができる場合もあると思います。
限られたエネルギーをどこに注ぎ込むか
自分たちの強みは徹底的に出して行き、得意じゃないことは委託する。限られたエネルギーをどこに注ぎ込むかの見極めは必要なことです。そのためのフレームワークを持っているといつか役立つこともあるかも知れません。多くの日常的な仕事は、小さなタスクリストに落とし込むことで半分以上は片付くことが多いです。「あれもこれもやらないと…」とずっと気持ちを圧迫している状態は良くないので、早く頭の中から外に出してやる必要があります。外というのはつまり、小さなタスクリストに落とし込むことです。
ショップとお客様の関係
ネットショップでは、お客様と接する全ての箇所においてブランディングが行われます。メール対応やお知らせの言葉遣い、ニュアンスなどを正しく設定します。文章でのコミュニケーションは、言葉で伝えるよりも10℃は温度が下がるのです。
誰に伝えるか
子供からお年寄りまで全て、日本全国、男も女も。そんな「全ての人に伝える」では、結果的に誰にも伝わりません。
お客様といっても個の集合なのです。伝えたい相手があまりにぼやけた状態になったら、たった一人に向けて設定してみるのもいいと思います。その人に一瞬で「ここには自分の欲しいものがあるかも!」と思ってもらえるくらいのターゲット設定が必要です。
ターゲット設定が難しい理由として、種族(属性)が増えたこともあると思います。ネットによって自分と同じ仲間に出会いやすくなったので、自分自身を周囲に合わせる必要がなくなったと。その反面、実は10年前も今とほぼ同じくらい種族は多かったのでは? とも考えます。
体験とは何か?
お客様はそのブランドを通して様々な体験をします。体験とは、「いま経験していること」と「その経験の記憶」の2つから導き出されます。いま現在は楽しくても過去に嫌な経験をしていれば、現在をも楽しむことはできません。
記憶に強く残るのは、最初(オープニング)よりも最後(エンディング)です。エンディングで感動するためには、そこにたどり着くまでの「共感できるストーリー」が必要です。
ビジュアルデザインはもちろんのこと、お客様の体験そのものをデザインする UxD(ユーザ・エクスペリエンス・デザイン)を行います。商品スペックや注意書きを伝えることよりも、その商品によってどんな生活を送ることができるかを伝えます。
人それぞれの価値観
自分にとって当たり前なことでも、他の人には全く意外なことかも知れません。
例えば1万円の価値は同じでも、物に対する価値はまったく人それぞれです。服に1万円出せても食事に1万円は出せない。旅行に1万円出せてもデジカメに1万円は出せないとか、1万円のバッグを買うのに躊躇するが70%OFFの液晶テレビは躊躇なく買えるなどです。
つまり、そのものにつけられた価格以上の価値を見いだ出した時に「買いたい」と思うのです。それは、同じ人でも状況によって大きく変化するものかも知れません。
自分にとっては当たり前すぎることでも、何をどうして欲しいかをしっかり詳細まで書くことが必要です。
人はどこにいるか自分の目で確かめる
「2ch には若い人がいなくなった、10代はニコニコ動画や GREE に流れた、mixi は学生が多い、Twitter のような短いコミュニケーションが活発化した、今後はもっと簡略化されて動画や写真のみでのコミュニケーションも進んでいく」そんなデータがあったとしても、自分が見たモノだけを信じること。主観によってデータは大きく変わります。
オタク文化が本当に気持ち悪いかどうかは、実際に自分の目で確かめてからでもいいかも知れません。固定観念はあらゆる物事をつまらなくします。
商品写真とは
商品写真は、モデル写真、トルソー写真、平置き写真、イラスト、どれが良いとは一概に言えません。商品写真はあくまでその商品を演出するものであると考えます。その商品が最も美しく見える、世界観を表現出来る、その商品でどんなすばらしい生活が送れるかというイメージを作ってあげます。「商品=モデル」と捉えるとイメージしやすいかも知れませんね。
男と女の違い
これは、意識しすぎるのもいけませんが、知っておかないといけませんね。
男は、好きな世界を再現しようとする。スペックが好き、自己満足を満たす。他の人と比べて自分が1番など、相対評価が良いと喜ぶ。
女は、好きなアイテムに囲まれていたい。他人に見られるような対外的な部分から入り込む。以前の自分と比較して褒められるなど、絶対評価が良いと喜ぶ。
お客様と販促の関係
これらのことは、なにもマーケティングやブランディングの話ではなく、自身のブランドに対する熱意やブランド哲学そのものからにじみ出てくるものです。どんなにフレームワークを持っていても、熱意がないところからは決して良いサービスは生まれて来ないでしょう。
大きな分類
- 既存客(1年以内に利用したことがあるお客様)
- 過去客(1年以上利用したことがないお客様)
- 見込み客(存在を知っている/知らない)
新規顧客を増やす
基本ですね。いくら待っていても人は来てくれません。見込み客に対してこちらから積極的にアプローチを行います。
まずはインプットしてもらうことが目的
ネットショップでは、OPEN と同時にいきなり商品が売れ始めるということはまずありません。まずは数々のお問い合わせをいただくことになるでしょう。1年目は広告やPR期間と考え、2年目から利益を出していく考え方が基本となります。
コンバージョンレート(購買率)は平均で約5%です。アクセス数からおよその月間売上が見えてくるでしょう。
過去客を呼び戻す
過去客にアプローチを行います。新規顧客よりも、過去客にもう一度利用してもらう方が可能性は高いです。そして、既存客を減らさないことは何よりも大切なことです。
いつ求められているのか
1年のうち、暇な時期にどんなに販促を行っても効果は出にくいです。売上の高い時期にタイミングを合わせて新規集客を行った方が反応は高いものとなります。上をより高くすることで、下を底上げするという考え方です。
広告やPRにどれだけお金を掛けられるか
1人のお客様が生涯で生み出す売上のことを顧客生涯価値(LTV -Life Time Value)と言います。たとえば「年間売上3千万円÷年間お客様数1000人=3万円」となり、1人の新規顧客を獲得するのに3万円まで使って良いという計算になります。
広告費は非常に削られやすい項目ですが、広告に10万円掛けられるかどうかは計算で判断できます。
ネットショップでのメール送信
ネットショップから送信するメールの種類とその目的を明確にしておきます。
- 受注確認メール(注文内容の確認)
- 発送連絡メール(伝票番号の連絡)
- フォローメール(間違った商品が届いていないか、ご迷惑をお掛けしたことはなかったか)
- ポイントの有効期限メール(最終購入日から1年たったお客様への連絡)
商品と販促の関係
品質管理で信用を上げる、A/Bテストを行って商品開発に生かしていく、年間スケジュールを立ててストーリーのつながり具合を確認するなど。アルバムを作ってからシングルカットするとストーリーがぶれない、そんなイメージかも知れませんね。
送料を一律や無料に設定することは、サービスになりうるが購入の動機にはなりません。商品におまけを付けるなども同じことが言えます。
商品のバランス
- メイン商品(利益の確保)
- 客寄せ商品(サイトへの集客)
- 品揃え商品(滞在時間のアップ)
- 少額商品(顧客単価のアップ)
4種類をバランスよく組み合わせる。
商品の種類
- 入口商品(スターターキット)
- 関連商品
- 高額商品
- 定期購入
- まとめ買い
商品に同封するもの
新商品のサンプル、ノベルティ、説明書、カタログなど。
在庫切れ商品の表示
在庫切れでもう入荷しないものは、クリック後にストレスを与えるだけなので、基本的には削除するべきです。商品点数を多く見せようとしてやりがちなことですが、非常にマイナス面は大きいです。
外部Webサービスとの連携
ツイッターやブログ、YouTube などと積極的に連携していきます。
長く続けるなら、無料ブログは避けて独自ドメインでのブログをやった方がいいです。
プレスリリース
PRをする予定がなくても、間違った紹介をされないためにアピールポイントを端的にまとめておきます。
現金値引とポイント還元
ポイントに対する理解は非常に難しいと感じています。ポイントを使われると損をすると思われる場合が多いですが、それとは少しニュアンスが異なります。
10,000円のものを8,000円で売ると8,000円の売上が立ちます。10,000円のものを10,000円で売ると10,000円の売上が立ちますが、その代わりに2,000ポイント付与したとすると、12,000円の売上が立つことになります。
家電量販店が「現金値引きとポイント還元」として行っている仕組みですね。10,000円のものを9,000円で売り、1,000ポイント付与することで、お客様は実質8,000円で購入できることになり、お店側は10,000円の売上が立つことになるのです。
ポイントはキャッシュフロー改善のための施策です。
セールの準備
セールを行う場合は、ひとつの梱包から発送にかかる時間をしっかり把握しておくこと。システマティックに計算することで、一日に発送可能な数を把握できます。把握することで気持ちが圧迫されることを防ぎます。これがどんなに必要なことかは、業務に追われてからではなかなか気が付けないでしょう。
商品とブランドの関係
仏作って魂入れず。何を作るか売るかよりも、どんなブランド哲学のもとに物作りをしていくかが大事。最終的に魂を吹き込むことが何よりも大事です。
バイヤーとして物をみると、物は不思議な魅力を醸し出してきます。物に魅了されてしまうと、そこに込められた想いは人を動かす力を持っています。良い物が売れるのではなく、良い売り方をした物が売れるのだということを再認識するべきです。そして、その商品に魂を注入することがなによりも重要なのです。
プロとアマチュアの違い
どの業界もそうだと思うのですが、プロとアマチュアの差は歴然です。グラフィックデザインに例えると、キャッチコピー、リードコピー、ボディコピーの関係性を理解しており、グリッドシステムを使いこなせて、その制作物の目的を理解しているデザイナーが作るものと、Adobe のソフトを使える「だけの」素人が作ったものとでは、比較の対処になりません。
優れたデザインのWebサイトを毎日数十サイトも目にしているWebデザイナーと、たまたま目にした格好いいサイトを知っているユーザーとでは、見え方が違います。
さらには、Webデザイナーと呼ばれる人の中にも素人はたくさんいます。知識とスキルによって UxD(ユーザ・エクスペリエンス・デザイン)を理解している人もいるし、あくまでビジュアルデザインの延長にしかいない人もいます。
ブランドも同じだと思います。アパレルブランドが OEM で作った靴と、シューズブランドが作った靴とでは、比べるのも失礼なほどです。
そういったディテールに気がつくかどうか。なによりも、プロとアマチュアとでは「それ」に関わっている時間が違いすぎるのです。プロは一日のほとんどを「それ」に費やし、時には過酷な状況下で仕事を強いられる。そうやって体に染みこんだプロ意識は、ソフトの使い方を覚えた「だけの」素人と比べることなどできなません。
高いところから眺めているだけでは人は動かない
本当の意味でデザイナーを指示できるのは、デザイナー経験のある人だけ。
リアルな現実
ネットショップ OPEN でフタを開けることになりますが、振り向いてくれるのは数パーセントです。
こちらから送ったメールは斜め読みされると思った方がいいです。人は自分のことで忙しいのです。しかしそこで心が折れてはいけません。最初はインプットが目的なので、いきなり購入してもらえることはまずありません。最初にブランド哲学をしっかりと作っておかなかった場合、ここで心が折れることになると思います!
Brand on Rails
ブランドの世界観
写真や文字を使ってストーリーを作り上げる。それを見た人は自分の生活に当てはめてイメージしてみる。この商品を使っている所、それを着て誰かに会っている所。この商品によってどんな1日が送れるのだろうか、自分のワードローブに加えることができるだろうか、もしくはどのように生活が変わるのだろうか?
こういった、ブランドのストーリー作りは決して簡単なことではありません。想像も出来ないほどのエネルギーを必要としますよね。重たいギアを動かす原動力は想像を絶するものです。
しかしここで書きたいのは、その次の段階のお話です。
商品のディテールとファンクション
色や形、素材を選べるといったカスタマイズ性、迷うほどのカラーバリエーション、ディテールに宿った職人技術のすばらしさ、それらは全てファンクションの話です。商品を手に取って開けてみて、ブランドの世界観に触れた後の話です。 箱を開けて見ないとその良さが伝わらないようなものに惹かれることはありません。
好かれること嫌われること
商品はタレントに似ているのかも知れません。好かれも嫌われもしない「どうでもいい」と思われてしまうのは悲惨なことです。誰かに嫌われる商品なら、他の誰かに好きになってもらえる可能性があるということです。毒と薬が表裏一体だとすると、毒々しさは商品に必要不可欠なものかも知れませんね。
レールが必要だ
ブランドで扱う商品はモノでしかありませんが、これをレールに乗せることで人に届くモノとなります。具体的には、ターゲットを絞っていくことに繋がると思います。レールとはカルチャーです。
Brand on Rails
アイデアとは、2つ以上のことを同時に解決することにあります。
ユーザ(お客様)と同時にデベロッパー(職人、制作者)が幸せになる仕組みを作らなければいけません。モノを奪う人に対して、モノを分け与えようとは思わないでしょう。
新しいプラットフォームを作るときには、多くの場合、2種類のお客様が実在します。こちらから直接的にサービスを提供する相手と、こちらが提供するサービスプログラムに魅力を感じてもらって参加して協力してくれる相手です。
例えばビジネスマッチングサイトであれば、案件を求める業者、案件を提供する企業。ポータルサイトであればユーザと広告主などです。
最後に(一旦まとめます!)
ネットに特化したブランドのあり方を考えてきましたが、ブランドをカルチャーという名のレールに乗せていくと言う意味で、「Brand on Rails」というシンプルな言葉にたどり着きました。