「Hot Pepper ミラクル・ストーリー」を元に、要約メモしておきたいと思います。
生活圏を捉えたホットペッパーの強み
単品ど迫力で日本を圧巻
日本は114の生活圏で成り立っている。「働いて」「住んで」「食べて」「遊ぶ」行動圏である生活圏は、そのタイプによって7つに分類される。
- アーバン都市(銀座・新宿・渋谷など)
- 大都市(横浜・名古屋・大阪・京都など)
- 大都市周辺衛星都市(岐阜・宇都宮・大宮など)
- 地方大都市(札幌・仙台・広島・福岡など)
- 地方大都市周辺衛星都市(和歌山・福山・佐賀・小倉など)
- 地方有力都市(鹿児島・熊本・岡山・金沢・旭川など)
- 地方中小都市(郡山・青森・秋田など)
ひとつひとつのエリアの半径2〜5キロの中で「衣食住働遊」を行い、消費の8割をそこで行っている。
見えなかったのではない、見なかったのだ
そもそも東京という生活圏はない。あるのは銀座・上野・新宿・渋谷などに細かく分かれた生活圏。
社員でない集団がつくったオバケ事業
創業当時から、業務委託と契約社員とアルバイトの力によって、ホットペッパー事業は一から作られていった。この事業は正社員だけでやっていたら絶対に成功しなかった事業である。それは、その資質と想いとスピードの違いからくる差。正社員は収入や地位など、守るべきものが多すぎる。非正社員は守るべきものはないので、攻めあるのみ。正社員が自社内での評価を意識してやる・やらないの判断をするのに対し、非正社員は「お客様にとって正しいか・正しくないか」だけ。正社員は長く安定的に実績を上げたいと考えるが、非正社員は時間が限られている。その時間の中で圧倒的な成果を出したいと考える。
フリーペーパーとクーポンの事業モデル
逆行して生まれた
いきなりネットでホットペッパーをスタートしても広告掲載料無料化争いに巻き込まれるだけだった。バーチャルのネットにクライアントは掲載料を払わないが、リアル紙の広告ならお金を払う。まずはクライアントからお金をもらう仕組みを作る。けれど、自宅で無料で情報が手に入るユーザーに対しては、無料で情報を提供しなくてはならない。つまり、フリーペーパー=無料誌。
クライアントにはリアルで課金する仕組みを作って囲い込む一方、ユーザーはフリーペーパーという形で囲い込みと場づくりをしてブランド化する。そして、来るべきネット時代にそのクライアント情報とユーザー囲い込みをWebに転嫁すればいいと考えた。
生活圏の日常生活コンテンツ・ポータル
生活圏の中で毎日の消費行動をしている。どんなに広くても10キロ(東京だけは30分の時間範囲)。生活圏の中で情報を探し、消費行動をしている。生活圏で、稼いだ所得の8割を消費する。街の生活情報誌こそが日常型コンテンツがふんだんにある情報誌となる。生活圏の情報こそ日常生活の中で人々が必要とする情報。ホットペッパーは「生活圏エリアの紙のポータル」と考えてスタートした。
人を動かすスイッチ
誰でも原稿をつくれるシンプルな写真とキャッチとクーポンにすることで、クリエイティブ・コストを削減しながら、クーポンという武器で圧倒的な注目と商品差異化を実現した。クーポン戻り枚数、来客数、客単価で売り上げ換算され、広告掲載料とのコストパフォーマンスが測定される。クーポンは広告掲載クライアントにとって「価値を測定する仕組み化」も初めてつくり出した。
日本にクーポン文化を醸成する
クーポンは値下げではない。売れない→定価を下げる→利益が上がる→減価・経費を下げる→人件費を下げる→所得が下がる→物が買えない→物が売れないというデフレスパイラルの最大の間違いは「定価を下げた」ところにある。一度下げた定価は二度と元に戻らない。
クーポンは「定価はそのまま」で、時間を限って、ユーザー対象を限って、商品を限って、個数を限って行う賢い価格政策。
クーポンは賢い消費を実現する。使うことが得なのではなく、使わないことが損になる。クーポンを使うことがケチくさくて恥ずかしいという気持ちがなくなり、習慣となり文化となる。
失敗から学ぶ戦略と仕組み化
事業は物語だ、勝つシナリオをつくれ
事業が成功するためにシナリオは是が非でもなくてはならない。考えて、考え抜いて、これでだめなら仕方ないと思えるまで練り込んだシナリオが必要。全体の流れはどのように流れていくのか?どのような順番になるのか?それはなぜか?
本来、マネジメントはシナリオを描くために存在している。
じつは、実行していない
「戦略は正しいが結果がでない。そして、戦略を練り直す」そんなことを繰り返している事業は多い。現場を知らない「企画坊や」がいると延々と戦略を練り直し続ける。けれど実は、決めたことが実行されないから結果が出ない。
仕組み化ができていない
誰でも同じように簡単に理解し行動できるように汎用化するのが仕組み化。仕組み化はコミュニケーションを活発にして組織のコンセンサスをスムーズに創り出す。人のクリエイティブをさらに上位概念に引き上げるために仕組み化がある。
誰にでもできるようにして、人に頼らないようにするのは、マニュアル化。
事業立ち上げの仕組みづくり
広大な海を見に行こう
都市別にNTT登録飲食件数、飲食店売上げ、F1人口、マクドナルドの出店店舗数などをベースに都市を7つのタイプに分類し想定売上げを算出した。
営業を科学する
マーケットにある新規のお店、1,000件の15%に当たる150件を3ヶ月で獲得するには新規で50件/月、それを15人の営業マンが毎月3件の新規を獲得する計画になる。
商談率10%、商談決定率25%、1件への複数訪問は3回。1人あたりの訪問件数20件×22日=440訪問、440訪問/3回=146店、146店×商談率10%=14.6店、14.6店×商談決定率25%=3.6
ひと月に3件の新規を獲得するには20件の訪問が必要となることが証明される。
血流をよくする
2週間に一度開かれる全国版元長会議の内容は、会議終了後にその決定プロセスも含めてレジュメにまとめられて、翌日には800名のメンバー全員にメールで配信される。誰が何を言ったのか、まるで自分がその場にいて意思決定に参加しているかのようにまとめられる。
ヨミと意志で業績オペレーションをする
ホットペッパーの業績オペレーションは自分で計画する意志の高さと、その意志との誤差を生んだ戦略上の原因分析、次週に向けての対策を練ることを毎週行うことでPDSを1年で48回行うことだった。
採るべき人だけ採る
社内査定で優秀な評価を得ている営業マンが信条としていることや、自分自身の成長段階で大切にしてきたものや、部下に求める資質や能力とその根拠についてのインタビューを行い、そのインタビューに共通して表れた言葉を、働く人に必要な資質と態度として言語化した。そしてそれを事業に必要なコアコンピタンスとして定義した。
成功ノウハウの共有と浸透
岡田奈奈実を見つける
個人の中に眠っているノウハウを全員で共有する仕組みが大切になる。営業ビデオに収録して版の勉強会に利用したり、社内報で徹底的に検証して共有する。成功している体験を体系化し、誰でもできるようにシンプルにパッケージ化する。最も大切なのは、全員で一斉に実行すること。そして、組織のブームにしてしまうこと。それが勢いになり、組織力になる。
ホットペッパーは、眠っている成功ナレッジを発見し、パターン化して、名前を冠して憧れの型をつくり出すことで、ノウハウの共有と浸透と全員での実行を可能にした。
顧客接点づくりの仕組み化
素人がプロになる
ホットペッパーの場合、相手は料理のプロ。しかし20〜30代の女性の本当に食べたい料理を知る機会は限られている。宴会メニューについて圧倒的な情報を収集し、お店のオーナーや調理長に、そのターゲットそのものである営業マンがリアリティのある言葉で語る。
吉田采都子の「何屋プチコン」
みんなお客さんのニーズに応えているつもりが、自分の強みが何かを忘れてしまって仕事に流されている。それを一緒に考えてあげる。他の寿司屋と何が違うのか?常連さんは「アナゴ寿司」だと答え、アナゴ寿司を写真で出すことが決まった。
営業の仕組みと顧客との関係
営業を複雑にする
当時、世の中的にも、営業の機能を別会社で販社化したり、代理店化したり、アウトソーシングしたり、中にあっても営業業務を分業化したりするのがひとつの流れだったが、ホットペッパーは営業の分業化を絶対にしなかった。
人件費コストの面からではなく、働く人のモチベーションの観点から営業の仕組みを考えなければならない。「自分で考え、決め、行動する」要素が仕事には必要。
トップ営業マンだけに聞くな
レストランに行くと、メニュー表がある。どこの産地素材でどんな味付けなのかが写真とともに書いてある。わかりやすくて、楽しくて、決めやすい。営業もまた自分たちの商品の価値や特徴をわかりやすくまとめたメニュー表が必要。この補助ツールを使って、徹底的に営業訓練をする。
やる気がないとか怠けているとかモチベーションの問題で売れていない営業マンに惑わされてはいけない。これは技術の問題ではない。技術の問題とそれ以外の問題は切り離して考えなくてはならない。
3つの型を創るニーズは多様化していない
顧客ニーズを整理して絞り込むと、団体をとりたい、回転率をあげたい、客層を変えたい、顧客単価をあげたい、せいぜいそんなものだった。それらの課題を解決できた原稿パターンやクーポン内容パターン、それらの課題を解決できる商品設計や流通設計やプロモーション計画をまとめたツールパターンを用意した。それを新規営業の「型」として完全に暗記して繰り返し、繰り返し徹底的に訓練した。
訪問の必然性
お客様がよく来てくれたと思える訪問であり、思わず嬉しくなったり、楽しくなったり、ほっと癒される訪問であれば、あいつが来ると面白いし元気になれると感じてもらえる。「七福神お届け営業」「おみくじキャンペーン営業」「こぶ茶と唐辛子せんべいでちょっと一服営業」など、お客様さまと営業マンの心理的距離を縮めて、訪問する意味づけをする。
ロジックジャンプを信じる
時にはひとつのお店に1日に3人もの営業マンが訪問し、「お前で3人目だ、いい加減にしろ」とお客様を怒らせることもあった。それでも訪問しているうちに「大変だね、よくがんばるね!」と言ってくれるようになり、「まあ、お茶でも飲んでいけ」と言われる。
そしてある日、いつもと違う知らない営業マンが飛び込むと、「うちの店の担当は○○さんだよ!」と言う。まだ取引もしていないのに、担当者になっている。その瞬間をロジックジャンプと読んだ。営業マンがその店の情報をたくさん収集し、理解していることをお客様が気付くからだ。
マネジメントとリーダーの育成
リーダーとは物語を語る人
リーダーの役割とは、変革し、パッケージ・パターン化し、汎用化し、構造化し、安定化すること。けれどその安定化に形式化・形骸化を発見し、また変革すること。
リーダーとは物語を語る人。「この事業は何か?何を実現したいのか?」から始まって、「実現した時の世の中、この組織、個人の姿」「その実現に向けて、一人ひとりの役割とチームの役割」そして「一人ひとりの仕事とその人の人間的成長」までがシンプルに繋がっていく物語を語る。
女に嫌われる男の5つの条件
女性から嫌われるというのは、 ホットペッパーのような、女性が8割を占める組織では致命的になる。「汚い、せこい、弱い、おもしろくない、可愛くない」強いDNAを求めている女性は弱い男を遺伝子的に拒否する。おもしろいというのはお笑いのおもしろさとワル的なわくわくどきどきの2種類がある。可愛さは女性の母性本能に響く可愛さ。
リーダーに必要な技術
まず第1に、高い志を掲げる技術。無謀な志でもなく、ただ堅実なだけの手堅い目標を申請する技術でもない。限界を判断しながら、実現を目指せる見通しを持った高い志。
第2に、事業を設計する技術。ビジネスプロセスを理解し、全体像の中で統合性のある戦略を立てる技術。企画坊やや営業バカでもなく、事業家として画を描ける技術。
第3は、組織をつくる技術。事業の目的を実現するために必要な機能を定義し、その資質を持った人間を配置する技術。個の把握はもちろん、個と個の関わりでとらえ、組み合わせをつくる技術。
第4は、伝える技術。どれだけ多くの人に、いかに短時間で同時に自分の描くシナリオをわかりやすく伝えることができるか。
第5は、実行する技術。自分自身が誰よりも早く率先し行動しやってのける技術。失敗を恐れず、できなくてもまず行動してみせる技術。
第6は、育てる技術。組織力強化のために個々の力を最大化する。スキル、知識、態度、スタンス、そして人間性を高めるために教え、育む技術。
第7は、評価する技術。メンバーに要望したことを確実に数値化して評価に反映する技術。メンバーがその判定に納得感を持ち、要望されたことを必ず見ていてくれるという信頼を獲得する技術。
最後に、愛される技術。愛されれば、驚くほどそのメッセージは組織に浸透する。
決めるチカラ
ホットペッパーは、リーダーである版元長に対して、徹底して決めさせることを行った。もちろん間違って決めれば厳しく指摘した。しかし、間違うのが怖くて決めないでおく奴は絶対に許さなかった。