もくじ

リアルショップ(実店舗)でやらないようなことをネットショップだったらやっていいということは決してなくて、お店で「いらっしゃいませ」と言ったり在庫管理をしたりはするけど、いきなり「エラーです」と言ったり、何ヶ月も商品整理(更新)をしないなんてことはないですよね。そして、ネットショップは手段であって目的ではないはずなので、売上げを伸ばすため、コスト削減のため、そんなネットショップの運営体制だと、やっぱりそれは普段のネットショップの運営に現れてしまうと思うのです。

そんなわけで「Webブランディング成功の法則55」を元に、自分自身が理解しやすいような形で要約メモしておきたいと思います。

04_ブランディングとは企業がユーザーと向き合うこと

  • ブランディングはプロモーションのような一過性の施策とは全く次元の違う話である
  • 自社のサービスや製品で問題解決ができるユーザーこそが顧客である
  • 自社のできることをユーザーに提示し、選択し、体験してもらうことがブランディングである

企業がユーザーに約束できること(ブランドプロミス)を提示し、伝えること。
「安売りキャンペーンを行って認知度がアップした」というのは、安かったから売れたというだけであって、ブランドが構築されたということではない。

05_ロゴやロゴマークを認知させることがブランディングの本質ではない

  • 満足体験の提供こそがブランディングである
  • ブランドプロミスを伝えることが最初にやるべきこと。ロゴやロゴマークの認知はそれについてくるもの
  • ブランドプロミスはユーザーにわかる言葉でなければならない

Amazon は「欲しい本をすぐに届けてくれるところ」という点は知っていても、Amazon のロゴは知りません。つまり、その企業が何をしてくれるかというブランドプロミスは知っているわけです。満足体験の提供こそがブランディングなのです。

06_ブランドは重要な経営資産

  • 企業は自身のアイデンティティを自らの手でユーザーに伝えなければならない
  • ユーザーはあらゆる接点で企業の内側を見ている
  • 良い商品、良いサービスを提供しているだけではブランドは作られない

その商品が与えてくれる直接的な体験だけがその商品や企業の価値ではなく、認知・サポート・買い換えすべての体験の中で、ユーザーに多くの満足体験を提供することができる。

07_声なきユーザーの声を聞け

  • ユーザーは抱えている問題を「検索」という形で企業に伝えてくれる
  • 検索サイトで検索されているキーワードを調査すればユーザーニーズがわかる
  • アンケートやグループインタビューに答える人はある意味「特殊」な人である

アクセスログで、検索されたキーワードと関連して検索されているキーワードを知ることが出来る。

09_体験なくして、ブランディングはない

  • 自社の社員もわからないような企業理念をユーザーに説くことは無意味である
  • ブランディングはまず自社の社員にわかる言葉で訴求していかなければならない
  • ユーザーにブランドプロミスを体験してもらうことがブランディングの第一歩である

ビジョンからブランドプロミスへ、そしてユーザーが体験する「ブランド」へ発展させていく。

11_ブランドプロミスはユーザーの理解できる言葉で

  • Webブランディングではブランドプロミスがユーザーの分かる言葉で示していなければならない
  • ブランドプロミスは社員のユーザーに対する行動模範ともなりえる
  • 今、企業がユーザーに提供できる事実をブランドプロミスにする必要がある

企業が「10年先はこうなっていたい」という企業ビジョンを約束しても、「10年後にそうなるのなら、そのときに製品を買わせてください」ということになる。今、企業が提供できることをブランドプロミスとしてユーザーに提示しなければならない。

13_Webサイトはユーザーのための問題解決ツールである

  • ユーザーは問題を抱えたときにWebサイトを利用する。そしてその問題は、今、解決したい問題である
  • 企業のWebサイトの存在意義はユーザーの問題を解決できるか否かにかかっている
  • 企業のWeb担当者は、自社のWebサイトに自分自身が訪れたいか自問自答してほしい

じっくり相談したい→対面コンサルティングサービスを提供
自分で判断したい→Webサイトで情報を提供
今すぐ連絡したい→コールセンターなど、対人サポートサービスを提供
など、役立つサービスを最適チャンネルにて提供する。

16_セグメントされたユーザーへのアプローチが有効

  • 持っていないから物を買うという時代が終わり、すでに物を持っているという時代では、物を求めるユーザーを探すのは従来のますプロモーションでは難しくなっている
  • インターネットでは、物を求めるユーザーが自ら探してWebサイトにやってくるため、そこでのプロモーション効果は非常に高い。

リアルのプロモーションでは、何となく商品をユーザーに印象づけるのには強いのですが、その先には行けません。インターネットを利用したプロモーションでは、セグメントされたユーザー層へのアプローチがしやすいという利点があります。

18_生涯顧客育成こそがメディアとしての本質

  • Webサイトにはその企業のサービスや商品の情報を積極的に得たい人が訪れる
  • Webサイトではより深いアイデンティティの説明、より深い印象づけが可能となる
  • 顧客満足度の向上とそれを積み重ねることによる生涯顧客育成が、Webサイトのもっとも得意とする分野である

商品や情報のページにたどり着いたユーザーがそれに興味を持てば、その企業のことを知りたくなります。どんなに長く、どんなに説明が難しくても読んでもらえる可能性があります。顧客満足度の向上と、それを積み上げていくことによる生涯顧客育成、Webサイトが一番有効に機能するのはこの部分。

19_ブランディングにはWebサイトとリアルの連動・連携が必須

  • Webサイトだけでユーザーの全ての問題を解決できるわけではない
  • Webサイトとリアルのサービスの連動が大きな顧客満足度を得る秘訣である
  • ブランディングに必要なのは、企業とユーザーの全ての接点において、ユーザーに満足を与え続けることである

ネットでホテルを予約して、当日フロントに行ったときに「ネットで予約した○○ですが」と告げて、即座に「承っております」と応対してくれると気持ちが良いものです。コールセンター、カタログ・パンフレット、商品、店舗、ディスプレイ・看板、マスメディア広告などのあらゆる接点で明確かつ一貫したブランドプロミスをかかけ、ユーザーが満足するシナリオを用意し、着実なスパイラルを作り上げることが必要なのです。

20_志を伝えられる唯一のツール

  • マスメディアの広告で企業の「志」をユーザーに伝えることは非常に難しい
  • Webサイトに訪れるユーザーは、はじめから商品に興味を持っているので、会社の情報や開発ストーリーなどのより深い情報を求めてくる
  • Webサイトはベストなタイミングでユーザーに企業の「志」を伝えることができる

問題を抱え、その解決を求めたユーザーがその商品を選び、より深い情報を求める。まさにこのタイミングのみに企業の「志」は伝えられるのです。社史がどこからリンクされていればいいか、会社概要などではなく、商品からのリンクが必要であるということです。

21_Webブランディングこそがコーポレートブランディング

  • Webサイトは、問題を抱えて困っている人を見出せる唯一のメディアである
  • 企業が接する実際のユーザーと、Webサイト経由で接するユーザーは、ほぼ同一のものとなっている
  • Webブランディングで行わねばならないことは、コーポレートブランディングを見直すきっかけとなる

ユーザーとの接点の構築、情報を発信する仕組みの構築、情報を共有し利用できる仕組みの構築などが、ブランドアイデンティティの明確化や社員のブランド意識の強化につながり、コーポレートブランディングを見直すきっかけとなる。

22_Webサイトを訪れるユーザーは顧客である

  • Webサイトでユーザーの入力に対して「エラー」を返すことは大変失礼なことである
  • インターネットの世界ではユーザーに対して「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」という発想が欠如している
  • Webサイトを訪れるユーザーは問題解決を求める大事な顧客である

特にトップページ以外のページに直接アクセスしてくるユーザーは明確に顧客であると認知するべき。
氏名から住所、電話番号まで入力したユーザーに対して「エラー」と突き返すのは失礼なこと。

24_Webサイトの入り口は「トップ」「HOME」だけではない

  • ユーザーがどの切り口からアプローチしても、必要とするコンテンツに誘導できるWebサイト構造を「マルチエントランス」と読んでいる
  • マルチエントランスでは、ユーザーの抱える問題ごとにWebサイトに最適な入り口を設ける

一般のユーザー向けコンテンツ、取引先向けコンテンツ、会社情報関連コンテンツといった異なるユーザー属性に対して適切なマルチエントランスを実現し、目的別に入ってきたユーザーを、迅速にブランドを訴求するコンテンツへ誘導する。
会員になりたい、商品を買いたい、製品について質問、法人会員になりたい、商談のため訪れたい、就職したい、投資したいなど、さまざまな目的がある。

35_成果と仮説がない状態でアクセスログを解析しても無意味

  • アクセスログの解析には、そのWebサイトの「成果」が設定さてれいる必要があり、その成果が得られる(または「得られない)という「仮説」を立ててのぞむ必要がある
  • 成果と仮説がない状態でアクセスログを調査しても、Webページの人気ランキング程度のことしかわからない

どの部分のアクセスログを解析するのか、ポイントを決めてアクセスログを解析する必要があります。

36_すでにワークフローは存在している

  • Webサイト制作に関わる人々の共通言語としてワークフローが必要になる
  • ワークフローがあれば、どのタイミングでアウトプットが完成するのかを明確にし、制作にたずさわる全員がそのタイミングを共有できる
  • 構築がそのWebサイトのスタートであり、管理・運営や効果測定まで事前に検討して想定しておく必要がある

例えば本を作る場合にはワークフローは重要ではありません。出版業界自体が成熟産業であり、仕事の進め方のルールが一定化していることが大きな理由と考えられます。専門用語などの言葉が一定であり、考え方や発想がある一定の方向に向いた人が分御してやるからです。
Web業界の場合は共通言語は存在しないし、考え方や発想が全く異なる人たちが混在して制作しなければなりません。

37_役割とタスクは明確に

  • Webサイト関係者すべてがプロジェクトの目的や成果を理解しておく必要がある
  • ワークフローは、どのタイミングでどんな成果物を出していくのかを明確にする
  • 自分の作業はどの時点で発生するか、それがほかの人のどんな作業に影響するのかを全員が共有することで進行管理や品質の向上に役立つ

多種多様なスタッフがかかわるWebサイトのプロジェクトでは、すべてのメンバーが理解できる共通の言語となるツールが、さまざまな場面において必要になります。

38_根本的な問題点を洗い出せ

  • Webサイトの問題を洗い出すためにプロジェクト関係者全員のヒアリングが必要
  • ヒアリングで出てくる問題は表層的な事象であることが多い。その事象が起こる根本的な原因を見つけなければならない
  • 根本的な問題は、実はそれほど多くない

広告ばかりの企業のWebサイトにおける問題点は次の6点です。

  1. ユーザーが欲する情報が致命的なまでに欠落している
  2. 何を伝えたいのか収拾のつかないWebサイト
  3. 「あれも載せたい」「これも載せたい」という方針で制作したWebサイト
  4. ほしい情報を見つけることが不可能に近いWebサイト
  5. ただ立ち上げているだけのWebサイト
  6. 一方通行的な情報発信のみで満足しているWebサイト

このような「何の効果もあがらない」状態のWebサイトを現状認識することが、まずスタート地点になります。

39_ヒアリングはコミュニケーション手段と心得よ

  • 関係者すべてのヒアリングにWebサイト構築主導者が同席し、組織全体で何が起こっているのかを把握してもらう
  • ヒアリング対象者には事前にヒアリングシートを送り、文章にして答えておいてもらうことで、ヒアリングする側もされる側も問題を把握しやすくなる

その場で聞き取った情報だけでレポートをまとめるのは、なかなか難しいことです。あらかじめ整理してもらった情報を理解した上で、さらに詳しくヒアリングする内容を検討することができ、質問を受ける側も問題を整理しやすく、ヒアリング時の受け答えもスムーズになります。

41_「あるべき姿」の共有なくして、目的の達成はない

  • ユーザーにとって自社のWebサイトがどうあるべきなのかを徹底的に洗い出したものが「あるべき姿」である
  • 「あるべき姿」を明確にしておけば、何度かのステップを踏んでその姿に近づくことができ、最終的なゴールを最短距離で目指すことができる
  • 「あるべき姿」を目指すことは、プロジェクトメンバー全員の議論のベースを確立することにほかならない

4段階くらいのステップで「行うこと」を整理したうえで「あるべき姿」を提案すれば理解がされやすくなります。

  • 【ステップ0】SNSサイトが立ち上がることを告知する(プロモーションサイト)
  • 【ステップ1】コア会員となるであろう方々を招待し、コミュニティの基盤を構築する
  • 【ステップ2】会員からの招待システムを構築し、既存顧客以外の会員を増やしていく
  • 【ステップ3】既存顧客に対してのサービスと、新規会員に対してのコンテンツを充実させる

45_ユーザーの言葉で、ブランドプロミスを再構築せよ

  • ユーザーにわかる言葉で「ブランドプロミス」を唱えることがスタートラインとなる
  • ブランドの概念は、4つの構成要素で形成され、4つの表現要素に展開される
  • 「企業成熟度マトリクス」にマッピングして、ユーザー視点へと置換する

企業理念やビジョンなどでトップページを飾ることは、Webブランディングではありません。そのような理念やビジョンをユーザーに分かる言葉(ブランドプロミス)に翻訳する必要があります。ブランドの概念は4つの基本要素「我々は何者か」「何をするのか」「何を提供できるのか」「何ができるのか」で形成されます。これらに対してブレストを行い、「言葉」「ロゴ」「色調」「イメージ」からなる4つの表現要素に対して、言葉を使って展開していきます。

47_ユーザーの体験するシナリオを明確に描け

  • 企業はWebサイトを訪れるユーザー像を想定して、その問題解決となるコンテンツを意図的に用意する必要がある
  • コンテンツにはユーザーが検索サイトから到達することを想定して、ユーザーの想像できる言葉で表現する必要がある
  • 検索サイトという入り口から問題解決となるコンテンツに導き、体験という出口までのルートを「ユーザー体験シナリオ」と呼んでいる

ユーザーの問題を解決したり、目的を達成してもらうためにはWebサイトに訪れるユーザー像をあらかじめ想定して、ユーザーの抱える問題や目的となるものが何かということを洗い出しておく必要があります。そして、問題解決のためのコンテンツを意図的に用意するのです。用意したコンテンツは、ユーザーが検索サイトを使ってたどり着くことを想定し、ユーザーが想像できる言葉で表示しておく必要があります。検索サイトという入り口から問題を解決するコンテンツへとユーザーを導き、体験という出口までのルートを案内する、これを「ユーザー体験シナリオ」と呼んでいます。ユーザー体験シナリオは必ずしもWebサイトで完結するものではなく、店舗へ足を運んでもらうように誘導したり、電話をかけてもらうように導くといったシナリオも考えられます。

48_「ユーザー体験シナリオ」はユーザーに体験してほしい最高の体験を企業が創造すること

  • ユーザーは企業とのかかわりの中で満足体験が多ければ多いほど、企業のファンになる確立が高くなる
  • ユーザー体験シナリオを構築する過程で、企業がユーザーとの関係で改善しなければならないポイントが明確になる

構築プロセスは次のとおりです。

  1. ユーザーにしてほしい満足体験を創造する
  2. ユーザーが満足体験を実現するプロセスをシナリオ化する
  3. このシナリオに基づいて必要なコンテンツを用意し、適合する表現を策定する

ここでは、企業は、ユーザーにしてほしい「満足体験」を明確に定義する必要があります。

49_ユーザーに必要なコンテンツをユーザーの立場で考えよ

  • Webサイトをユーザーの問題解決ツールとして機能させるために、ユーザーニーズを探りそれに合わせたコンテンツを展開することが有効
  • 同じ情報でもユーザーのニーズに合わせて見せ方を変えるだけで、有効なコンテンツとなる

ユーザーのニーズを明確にし、ユーザー体験シナリオを策定すればWebサイトでやらなければならない戦術は明確になります。同じ情報でもユーザーのニーズに合わせて見せ方を変えるだけで、有効なコンテンツになります。

50_リアルとの連動連携を再検討せよ

  • インターネットプロモーションの有効性を上げるためにマスプロモーションを利用する
  • Webサイトより、リアルでプロモーションしたほうが簡単で効果的な場合もある
  • Webサイトで良いサービスを提供してもそこだけで完結するものばかりではない。リアル同等のサービスを提供する必要がある

DMに載せている商品価格と、Webサイトの商品価格が異なるなど、告知するツールによって情報がことなるのはよくない。DMに記載されたURLやQRコードからWebサイトに行けるようになっているなど、キャンペーン情報と連動したWebサイトが成功する。

53_CMSは概念である

  • CMSはWebサイトの運用や運営を楽にするツールだと考えられている。しかしCMSとは概念であり、運用ツールというのはその一面を表しているにすぎない
  • Webサイトを訪れるユーザーが抱えている問題は多様であり、そのすべてを解決することは難しい。しかしCMSを導入することで、ユーザーのニーズに合わせてリアルタイムにコンテンツの作成が可能になるため、ユーザーの多様な問題を的確に解決できる可能性がある

CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)という概念は、Webブランディングを行う上で必須といえる考えです。もちろんこの考えを導入することによって起こることのなかに、運用・運営が楽になるというメリットがあることも否定しません。

54_CRMはユーザーをサポートしようとする心である

  • CRMはユーザーサポートの概念である
  • CRMとは、ユーザーとのやりとりのすべてを管理することによって、サポートセンターの誰が対応しても一貫したサポートが可能にするものである。これによってユーザーの利便性と満足度を高め、常連客として囲い込むことができる。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の考え方の副次的な効果として、コールセンターの人員削減やWebのメール対応、お問い合わせ対応が減るといったこともあるでしょう。ユーザーをサポートしようとする概念のその先にあるものは、ユーザーの満足体験をスムーズに実現するということにほかなりません。まさにこれがブランディングなのです。

55_最新技術はただの箱である

  • ユーザーから見れば、必要な情報を必要なときに引き出せれば、メディアが「Webサイト」である必要はない
  • インタラクティブなメディアであるネットワークを、ここまで一般化させたのはWebサイトの功績だろう。しかしWebサイトがこれまでの利用方法から転換の要求をさせていることも事実である

最新技術を見せることが目的のWebサイトでない限り、何のために、何を見せるかをしっかり考えて制作しないと、中身のない箱を世の中に送り出すことになります。物作りの基本は、どんな世界でも変わりません。

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